私は小さい頃とにかくお風呂掃除が嫌いだった。
母は私たち兄弟に一人一つずつ何かしらのお手伝いを命じていたのだが、私はいつもお風呂掃除だった。
お風呂掃除は夏こそ水浴びの感覚で楽しめるのだか、冬のお風呂掃除はとにかく寒くて大嫌いだったのだ。
だからなのか私はいつも風呂掃除を適当に済ませて、あたかもしっかりとお風呂を磨いたかのような顔で母親に終了の報告をしていたものだ。
しかし私がいつもお風呂掃除を適当にしていたにも関わらず、入ったときは浴槽がなぜかツルツルでしっかりと磨き上げられていた。
母親に聞いてみても、いつもあかなめさんが綺麗に掃除してくれてるんじゃないの?と冗談めかしていた。
そしてあかなめさんは本当にいつも綺麗にしてくれて嬉しいありがたいなぁと私の前であてつけのように言っていたのをよく覚えている。
今となってはお風呂掃除ぐらいしっかりとしておけば良かったと思っているが、だからといってお風呂掃除をサボった子供の前であかなめを褒めちぎると言うのはちょっと大人げない。